緊張型頭痛は、以前、筋収縮性頭痛、緊張性頭痛のなどと呼ばれていた頭痛で、生涯有病率は30~78%の範囲とされており、外来に来る頭痛の患者さんで一番多い頭痛です。
緊張型頭痛の特徴
緊張型頭痛は、中高年に多い頭痛で、女性にも男性にもみられます。 毎日起きる人が多いのですが、月に数回程度の人もいます。圧迫感、頭重感が特徴的で、後頭部から首筋にかけて凝ったように痛んだり、頭の上に重石が載ったような頭重感や頭全体が締められるように痛んだりします。 夕方になると、特に後頭部が、重苦しく締め付けられる様に痛むと訴える方も多い頭痛です。
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛は、精神的なストレスや肉体的ストレスが原因となり、頭から首、肩にかけての筋肉が硬く緊張した状態になると、筋肉の血流が悪くなります。すると筋肉には十分な酸素や栄養分が届かなくなり、疲労物質等の悪い物質も送り出されなくなってしまいます。
そのため筋肉は血管を細くする物質や神経を刺激して痛みを起こさせる物質、痺れを起こさせる物質などいろいろな悪い物質を作るようになってしまいます。この悪循環がどんどん進んでおきるのが緊張型頭痛です。
筋肉の収縮自体も頭痛の原因
緊張型頭痛の際には頭蓋筋と後頭筋に収縮がみられ,この収縮を強めると頭痛が増強し,弱めると軽快することを Wolff らが実験的に見出しました.筋収縮時に生じる筋血流の低下が頭痛の発生に関係しているのではないかと考えました.
血流を増加させる薬物の効果については Brazil ら(1956)は二コチン酸を投与し,頭蓋の動脈の拍動が増すとともに45例の頭痛患者のうち33例に軽快が見られたとしています.同様に Ostfeld ら(1957)も血管拡張剤によって筋収縮性頭痛が軽快したと報告しています.作田はドップラー血流計のプローブを筋内に刺入し,直接筋血流量の変化を観察しました.その結果,患者では下向き姿勢を強めるにつれ筋収縮が強まり,同時に筋血流量が低下しました. Orbito-meatal line が30°下向きではコントロールと大差ないが,ふだんの生活で問題となる+10°から-10°の範囲では有意に患者の血流が低下し,また後頚筋の筋収縮が大きいことが分かりました.
緊張型頭痛では阻血性筋収縮が原因で痛みの物質が遊離されます.それは乳酸やピルビン酸といったものですが,筋腹には「こり」,後頭下の靭帯付着部にはするどい「痛み」として感じられます.これは筋腹には神経が乏しく,靭帯付着部には神経が豊富に存在するためです.この靭帯付着部の痛みが放散して後頭部痛,側頭部痛,さらに眼窩後部痛として感じられるものが緊張型頭痛なのです.同時にこの靭帯付着部は圧痛点ともなります.ここを刺激すれば頭痛が増強し,局所麻酔薬で浸潤麻酔すれば頭痛は消失します.